現役をしながらセカンドキャリアを生きるということ【プロサッカー選手・岩政大樹の現役目線】
僕はJリーガーには向いていなかった
■岩政大樹「現役目線」第32回
プロ選手とセカンドキャリアを同時に進めた一年について
あっという間に年の瀬を迎えました。
僕は今年、新たな日々を始めています。この連載から本を出すこともできました。その激動の一年の締めくくりとして、今振り返って考えていることを書き残しておこうと思います。
ちょうど一年前の今頃、僕は自分の人生をどうしていこうかと考えていました。様々な情報を集め、話を聞き、そしてたどり着いたのが「プロサッカー選手を続けながら、”セカンドキャリア”を始めてしまえないだろうか」というアイデアでした。
ファジアーノ岡山を退団して、最初は引退を考えました。僕は、全身全霊をかけてプレーした所属チーム、鹿島アントラーズ、BECテロ・サーサナ、ファジアーノ岡山とは対戦したくない。できれば、元チームメイトとも敵として戦いたくなかったのです。
しかし、引退して何をするのかと考えたときに、僕は「これが自分の仕事です!」と胸を張って言えるものがありませんでした。解説をするにしても、コーチをするにしても、サッカー教室をするにしても、どこかのクラブに所属するにしても、書き物をするにしても、僕はそれを「本職」と言うにはあまりに未熟だと思いました。
その頃届いたのが、Jリーグのクラブではないチームからのいくつかのオファーでした。その一つに東京ユナイテッドが含まれていました。
僕はふと、Jリーグのクラブでなければ、そもそも社会人が所属しているわけだから、プロサッカー選手を続けながら、そうしたあらゆる仕事を同時にできるのではないか、と考えました。思いつくと、オファーをいただいた各クラブにそのアイデアを打ち明け、実現可能か問い合わせてみました。すると、いずれのクラブもそれを奨励してくれました。
【サッカー本大賞(本の雑誌社)。岩政大樹「PITCH LEVEL」が大反響】